大河ドラマ「鎌倉殿の13人」北条氏のプロモーションとブランディング

現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、鎌倉時代を描いているにもかかわらず、あえて源氏ではなく、北条氏を主人公としています。
そのことから、何が見えてくるのか……考えてみましょう。
出自や学歴にとらわれず出世していくというケースのお手本
ここまで(2/13現在)の放送回では、源頼朝の挙兵から源平合戦へと時代が大きく動き出すところ。現段階では、頼朝を中心に物語が展開しているように見えますね。
義時自身も、ドラマの中ではそれほど戦には興味がなく、「蔵で米の勘定をしている方が好き」と言っているくらいの若者として描かれており、この先、鎌倉幕府をけん引する存在になるとはなかなか想像しにくいかもしれません。

しかし、あくまでも主人公は北条義時です。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が、源氏の人間を主人公に据えなかったのはすごいなと思います。例えば、頼朝を主人公にしたとしたら、生まれながらに血筋や家柄を手にした人物、すなわちエリートの物語となってしまうわけです。
一方、北条氏は京から遠く離れた伊豆の国の豪族であり、当時の感覚でいけば、政治の中枢を担うにはほど遠い存在だったはずです。そんな北条氏や義時(当時は「江間」姓)が外戚となり、並みいる御家人13人の中から権謀術数を使って頭角を現していきます。
これは現在にも通じることで、家柄や学歴にとらわれず自分の実力で出世していく道筋の参考となるのではないでしょうか。
目的達成のためのプロモーションとブランディング
ここで注目したいのは、北条氏が目的を達成するためどのような方法を取っていったかというところです。
いかにして周りと協調していくか、どこで自分の立場を上げるかといったプロモーションを行い、さらに自分の価値を高めるためのブランディングをどのように進めていったのか。

北条氏はそれらの能力にとても長けていたのです。
仲間内での諍いが起きたとしても、北条氏に仲介を頼んだらうまくまとめてくれるだろうという立ち位置を着々と築いていきます。仲間たちを油断させるほどの信頼、安心感を勝ち取っていくのです。
そして、それが北条氏の隠れた「戦力」となっていくわけなのです。
競争相手がいるからこそ磨かれる……多くのリーダーが輩出される時代
北条氏が力をつけるのと同時に、ほかにも多くのリーダーが輩出される時代でもありました。
13人の御家人の中から北条氏が抜きんでて執権の座を手に入れますが、のちに北条氏内部でも権力を巡る争いが起こり、そのたびに強いリーダーが現れます。
また、その頃、京でも皇族とは思えないほどのリーダーシップを持った天皇が続々と登場します。 競争相手がいることにより、それぞれが必死に自己研鑽するために、優秀なリーダーが続くというわけです。

人間は「ここまででいいんだ」と思ってしまった瞬間に成長が止まってしまいます。
研鑽し合うライバルややすりとなる人がいることで磨きがかかり、本来持っている自己の能力も発揮されるものです。
トップとしての自分も、部下の成長を促すにしても、社内・社外にかかわらずちょうどよいライバルの存在は、能力に磨き上げるには不可欠の存在といえるのではないでしょうか。

北条氏の立身出世の物語には、プロモーションやブランディング、そして、自己研鑽の参考となる種がたくさん詰まっています。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、そんなところにも目を向けて見ていくとますます面白くなりそうです。
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