内省がネガティブに傾くとお悩みの方へ

内省に真剣に取り組む方ほど、やり方や内省によって生じるものに対しお悩みになることが多いものです。

前回のブログでは他者とともに行う内省の効果についてお伝えいたしました。

【前回記事】1人の内省では不十分? 他者との内省で得られる多様な気づき

今回は、「内省をするほどネガティブな考えにとらわれてしまう」という点について考えていきたいと思います。

内省に取り組んだ方の生のお声から

「風の時代」には、必要不可欠な内省。私は以前から、さまざまな方の状況に見合った内省の方法をお伝えしています。そうすると、それぞれ真剣に取り組んでいただいた上で、共通して届くお声があります。

それは、

「内省は難しい」
「内省をすればするほど自分の至らなさを目の当たりにするようでつらい」

というものです。
この2つ、実は内省の捉え方によって解決する問題なのです。

内省とはそもそも、答えを導き出したり、結果を残したりするものではありません。「答えを出さなきゃ」、「結果を残さなきゃ」という考えにとらわれてしまうのも、「土の時代」の思想の名残かもしれません。「風の時代」における内省は、もっと軽やかで固定されないもの。自分の内面や心の動きに目を配り、外側から客観的に自分を見つめる。あるいは、他者との距離感などを多角的に観察する手段です。ここを踏まえて、「自分の至らなさが目についてしまう」ということについて考えてみましょう。

内省するほど自分がダメに思えてしまう

確かに、内省は自分としっかりと向き合うため、普段あまり触れない部分にまで意識が届くことがあります。良いところばかりではなく、苦手なことだったり他の人に比べて劣っていると感じたりすることもあるでしょう。時には、自分でも見ないように封じている部分が現れてしまうケースもあるかもしれませんね。

自分で至らないと思う部分に直面すると、「ダメな部分は悪いもの」と捉えがちです。「ダメだから直さなければ」。「ダメだからそこをもっと強化しなければ」……そんなループにはまると「内省は自分のダメな部分ばかりが見えてきてつらい」と感じるようになってしまうわけです。

しかし、内省は自分のことを「良い悪い」、「正しい正しくない」などと断じるためのものではありません。たとえ、間違っていたとしても良いのです。ひとまず、「至らない自分」をそのまま受け止めてあげることが大切なのです。

そうして、自分が物事を捉える際のパターンなど思考の流れやクセを知っていく。どのような部分を着眼点としているのか、得意とするのはどんなことで、そんなに得意でないのはどこなのかを洗い出していく。いわば、自分とのコミュニケーションなのです。

普段の仕事や生活に点在している内省

それでも「内省が難しい」と感じるのであれば、普段の仕事や暮らしを思い浮かべてください。

日々の生活や仕事は選択と決断の連続です。ケンブリッジ大学バーバラ・サハキアン教授の研究によると、人間は1日に2万回以上の選択をしているそうです。

季節の変わり目であれば、来ていく服をどうするかを考えるでしょう。天候・気温、自分の手持ちの洋服、それを着た時の感触、周囲の目線などさまざまな要素を考え合わせて、選択、決断していますね。

仕事の手順にしても同様です。仕事量、動ける人員、期限、時によっては予算など決定に至るまでには多くのことを検討しているはずです。

このように自分の経験値の中から自分なりの基準を見出して、考え、選択をするという行為は、いつも当たり前に無意識のうちに行っているはずです。そして、これらこそが内省なのです。

「内省してください」と言うと、特別なことのように感じるかもしれません。ですが、日常の中の選択をより意識的に行うのも内省と考えるとハードルがぐんと下がりませんか?

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人生はフルマラソン。経営はその一区間です。 長距離だからこそ、適切な緩急が大切ですね。Twitterでも歴史、神社、史跡を題材に経営力を高めるためのヒントをつぶやいています。

筆者情報

大杉日香理

株式会社ATEA 代表取締役

セミナー講師・作家

これまでの著書が累計34万部にのぼる、ベストセラー作家。

子どもの頃から日本史に興味を持ち、全国各地の神社を含む史跡巡りは、事業開始より10年間で延べ1万カ所以上となる。歴史をひもときながら人生の緩急を整えていく「時代旅®︎コンサルティング」を経営者に向けて実施している。

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